無形資産

by ジョシュ・ワートン

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風が岩壁の上から雪の波を吹き落とし、すでに霜で 覆われた岩面にもう一層の滑りやすい雪しぶきを被せた。 俺は雪をかわすために頭を下げ、凍ったフィンガーロック に挟み込んだ血と雪にまみれた自分の指を見た。

指は実際そこにあるのだが、感覚はほぼ 1 日中まったくなかった。足の指は窮屈なクライミングシューズのなかでとっくに肉の塊と化している。相棒のスタンリーはダウン・ジャケットを何枚も重ね着し、ビレイ地点でうずくまっていた。おそらく、俺なんかに出会うんじゃなかったと後悔しながら。ジョン・ディッキーは右数メートルの空中でフィックスロープにぶら下がり、半狂乱でカメラを雪から守ろうとしている。いったいどうしてこんな愚かしい状況に陥ったのだろうか。

【 「ダン/ウエストベイ・ダイレクト」のジョシュ・ワートン。コロラド州ロッキー・マウンテン国立公園のロングス・ピークのザ・ダイアモンド。写真:Chris Alstrin 】

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公共の土地を公共の手のなかに

by イヴォン・シュイナード

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アメリカの政治家はつねに、政府を「ビジネスのように」運営することに固執してきた。彼らが請け合うのは、官僚制度の無駄をなくし、我々の問題のすべてを自由市場に解決させることだ。

さて、もしアメリカの公有地がビジネスだったなら、株主はその一部の重役たちの著しい怠慢にショックを受けることだろう。

すべてのアメリカ国民が連邦政府の公有地6億4千万エーカーの株を所有している。そして私たちは公務員を雇い、その最大の利益のために、この貴重な資源を管理させる。だが何十年ものあいだ、私たちはこのような非常に大きな所有物を気にかけず、しかもそれが信頼できる手に委ねられていると、たかをくくってきた。

私たちは化石燃料産業を取締役会に入れてしまい、公選した役職者を顎で使うボスになることをガスと鉱業企業に許しているのだ。

【 ユタ州インディアン・クリーク、ヴァン・キャンプ 写真:Andrew Burr 】

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海の呼吸がとまる前に

by 赤井絵理(パタゴニア横浜・関内

マイクロプラスチック
「私たちがいま生きている地球は、もはやプラスチックスープどころではない。プラスチックスモッグだ」 これは昨年、日本で25年以上海洋ゴミとその環境保全の活動に深く関わってきた一般社団法人JEAN が主催、パタゴニアの環境インターンシップ・プログラムを通じて、私がその通訳兼運営スタッフとして参加した、第14回海ごみサミット三重会議で、アメリカの海洋環境研究所5Gyres 代表マーカス・エリクセンが行ったプレゼンテーションでの一幕。彼の言葉を聞いた瞬間、とっさに自分の呼吸を意識してしまったのを覚えている。地球の7割以上を占め、何百年という歳月をかけて循環し、酸素を作り、たくさんの命を宿す海は、まさに地球の心臓のような存在だ。

【 沖縄北部の嘉陽の浜で拾ったマイクロプラスチック。全写真:赤井絵理  】

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雨のために作られたウェア、クラウド・リッジ・ジャケット&パンツ:日本の山から着想を得て

by 片桐星彦(パタゴニア日本支社テクニカル・ライン・コーディネーター)

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雨の多い山での行動に適した「パタゴニアの雨具」――日本のお客様の日本の夏山登山に適したレインウェアのニーズは、ストアのスタッフからの長年にわたるリクエストで分かっていた。そして3年前の2014年3月7日、鎌倉オフィスでのクライミング・アンバサダーとの製品フィードバックのセッションで、日本のいわゆる夏山登山にもっと適した「パタゴニアの雨具」が欲しいと、強いリクエストがあった。彼らの活動の中心は冒険性の高い高所クライミングではあるが、登山ガイドであり、山でさまざまな活動をする花谷、谷口の両名からの言葉だった。パタゴニアのレインウェアは2.5層構造で、軽量性とコンパクト性に優れるが、日本の高温多湿という状況では時としてべたつき感がある。だが、日本のじめじめとした雨のなかの山行でも、快適に歩いている登山者もいる。参加者に「できればXXの雨具を」と言うたびに残念な思いをするのだ、と。

【 八ヶ岳山麓で、湿気が多くてベタベタする日本の春から秋にかけての雨の日のトレッキングのための雨具について話し合う日本のクライミング・アンバサダーたち。全写真:片桐星彦 】

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ゴビ・グリズリーを追って

by ダグ・チャドウィック

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今日は、パタゴニア・ブックス出版の『Tracking Gobi Grizzlies: Surviving Beyond the Back of Beyond』より、第9章「Big Bawa(ビッグ・バワ)」の一部をご紹介します。

【 オアシスで無線の首輪を取り付けられ、その周辺の葦の草間に佇む「ビッグ・バワ」と名づけられたクマ。写真:Joe Riis 】

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マイクロファイバー汚染に関するアップデート

by パタゴニア 

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2016年6月、私たちは世界中の消費者が購入している化学繊維(以下、化繊)で作られている織物製品(ナイロン、アクリル、ポリエステル等)から生じる極小の繊維が引き起こす海洋汚染問題について、パタゴニアの調査報告を本ブログに掲載しました。

マイクロプラスチック汚染に関する調査は、科学者やアパレル業界内でまさにはじまったところですが、化繊衣類から抜け落ちるマイクロファイバーは、非常に懸念されています。私たちはこの問題を深刻にとらえ、問題の大きさと全容をより深く理解するために資金を投じ、そして影響力の強い解決策を生み出す一助となる措置は何なのかについて、理解を深めています。昨年の夏以降、私たちは問題の調査にさらなる対策を講じ、極めて重要な要因に対処する新たな行動を起こしてきました。ここでそのアップデートを報告します。

【 写真:Kyle Sparks 】

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地理の勉強

by リサ・リチャードソン

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ある年のクリスマスに弟が『死ぬまでに見たい場所1000選』という本をくれた。私はこの手の本が大嫌いだ。弟と彼のガールフレンドはリストにチェックマークをつけるかのように、行ったことのある場所を得意げに並べたが、私は理解に苦しんだ。「で、そこでいったい何をしたわけ?」

目的地に着き、見物し、「済」印をつけて終わりという旅行。あとになって思い出すことさえない旅行。批判的なとげとげしい感情に包まれて、せっかくの休み気分が損なわれた。私にはすべて取るに足らない、空っぽの栄光に思えた。私にもリストがないわけではない。でもその「規定」のようなものがあるとほのめかすのは、幸せにたどり着くためのルートが GPS で検索可能であると約束する、巧妙な詐欺のように思える。

かつて誰かが「あいつは自分の領域すらわかっていない」とバカにするのを耳にしたことがある。その軽蔑的なひとことは妙に頭に引っかかり、自分は絶対にそんな風に言われたくないと思った。そして、本当にそうだ。そもそも自身の恐怖と向き合ったことすらないのに、携帯電話で自撮りして目的達成の証拠にしたり、縁もゆかりもない 100 人の後ろに並んで皆と同じことをしたりするのに、何の意味があるのだろう。

【 リア・エヴァンスが渡るのは、 シーズン末のリンゲン・アルプスで液体と 化した雪原。ノルウェー。全写真:Garrett Glove 】

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北極圏に魅せられて

by ナサニエル・ワイルダー 

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ブルックス山脈東部上空をガタガタと揺れながら北に向かう飛行機の窓に頬を押し当て、真下の谷を移動するカリブーの巨大な群れに目を凝らす。夏至直後の暑い日のことだ。機体はカリブーの群れを数キロ越えたあたりでゆっくりと螺旋状に下降し、乾いた草に覆われたコンガクット川の流れと平行になる。6人乗りセスナ機のツンドラ対応型の太いタイヤが地面に触れ、古い観察小屋のある滑走路の終点で止まる。ここは北極海の端にある人里はなれた岩礁への、僕らの130キロのパドリングのプットイン。

【 コンガクット川を下りはじめて9日目の夜、北極海の一端を見ようと、何人かでキャンプ上にある尾根を上った。白夜が景色をパステルに染め、早くも私たちを夢の国へと送り込んだ。写真:Nathaniel Wilder 】

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アウトドア産業はユタを愛している。だがユタはアウトドア産業を愛しているのだろうか?

by イヴォン・シュイナード

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毎年、何百万人もの人びとがユタの公有地を訪れる。その目的はクライミング、ハイキング、スキー、狩猟、その他さまざまだ。私自身ユタの野生地で何年もスキーをし、登攀し、渓流釣りをしてきた。アメリカ国民がこれらの土地を所有し、そしてユタはその恩恵を受ける。毎年、アウトドアのレクリエーションがユタで生み出す消費は120億ドルにのぼり、全州で12万2千の職を支えている。たしかに、私たちはこれらの土地をエネルギーや放牧をはじめとするさまざまな用途に使っている。だが私の友人の多くがユタを究極の居住地だと考える理由はアウトドアへのアクセスにある。

【 アメリカの新しい国定記念物ベアーズ・イヤーズ。風化した砂岩、深い峡谷、森林、古代の岩窟住居、神聖な壁画からなる135万エーカー(約5,463平方キロメートル)のそこでは、世界級の探険、静寂、レクリエーションの機会が得られる。写真:Josh Ewing 】

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カスケードのリズム

by コリン・ワイズマン

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「ただ地元にとどまってウインドリップに乗りたいだけなんだ」とジョシュ・ダークセンは言った。それはシンプルな主張であり、シンプルな目標だった。

2014 年 4 月、僕たちはオレゴン中央部のサウス・シスターで数日間キャンプしていた。キャンプ地となる山の中腹にたどり着くのには時間がかかったが、神経がすり減るような場面はなかった。ハイウェイ372 号線から整備された雪道を、スノーモービルではなくファットバイクで 16 キロ進むという目新しい手段を使ってアプローチし、そこからスプリットボードでハイクアップした。そして南側の山腹にある春の深い雪塊を掘ってベースキャンプを設営した。

豪雨でできた深い溝を避け、周辺を探索しながら 3 夜を過ごした。ダークセンはシーズンのはじめに見た積雪層との変化に注目していた。僕たちが滑ったのはほんの一部だけだったが、滑降に適した峡谷をいくつか見つけた。

【 自分の裏庭にマウント・マクラフリンのような予期せぬ秘宝が隠されているのなら、冬中オレゴンにとどまるのはちっとも悪くない。写真:TYLER ROEMER 】

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クリーネストライン

アウトドアウェアを製造/販売するパタゴニアの社員、友人そしてお客様のためのブログです。パタゴニアについては patagonia.com/japan をご覧ください。

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